2023年版:印刷会社でも活用できる「事業再構築補助金」を徹底解説!

2023年版:印刷会社でも活用できる「事業再構築補助金」を徹底解説!

印刷会社の皆さまにとって、設備投資やその先のビジネス拡大をサポートする制度としてのものづくり補助金などの公的補助金は今や多くの会社に浸透し、定着しつつあります。新型コロナウイルス感染症や原油価格・物価高等の影響による資材高騰など外部環境の変化が激しい中における対応として、多くの印刷会社様が活用を検討されているのではないでしょうか。

そんな苦境に対し、「新しい事業への転換」による打破を目指す事業者を支援する目的で2年前からスタートし、数多くの会社が活用している支援制度が「事業再構築補助金」です。

開始して2年が経過したものの、まだ印刷業界での浸透は十分とは言えない本補助金。「事業再構築ってどういうこと?」「実際どんな使い方が出来るの?」「うちの会社は補助の対象になるの?」といった疑問の声も多くうかがいます。

本コラムでは「事業再構築補助金」の概要から具体的な申請に必要な要件や情報、申請時の注意点など、今から活用を検討される印刷会社様に必要な情報をギュッと凝縮して解説させていただきます!

コレを読めば、事業再構築補助金活用に向けた一歩を踏み出せる、という内容になっていますので是非最後までお付き合いください。

ノウハウの実践方法をまとめた
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目次

1. 事業再構築補助金とは?

事業再構築補助金は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売上回復が期待しがたい中、ウィズコロナ・ポストコロナ時代の経済社会に対応するために、「新市場進出(新分野展開、業態転換)」「事業転換」「業種転換」「事業再編」「国内回帰」などの思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援するものです。

第10回公募からは、第9回公募までの通常枠が成長枠に置き換わり、売上高減少要件が不要になるなど、対象となる事業者の裾野が広がりました。また、事業類型が8つになるなど、これまでの枠組みが大幅に刷新されています。

まずは再構築類型を選ぼう

事業再構築補助金で支援の対象となる再構築類型は、「新市場進出(新分野展開、業態転換)」「事業転換」「業種転換」「事業再編」「国内回帰」の5種類があります。申請にあたっては上記の類型のいずれかを選択する必要があります。

※各類型の詳細は下記「事業再構築指針」に公表されています
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/saikouchiku.html

それぞれ類型の概要は下記の通りです。

①新市場進出(新分野展開、業態転換) 業種・事業が不変(例:1511 オフセット印刷業(紙に対するもの)まま)
新たな製品の製造または新たなサービスを提供し、新たな市場に進出
②事業転換 業種は不変、事業を変更(例:152 製版業→151 印刷業など)新たな製品の製造または新たなサービスを提供し、
主たる事業を変更
③業種転換 業種を変更(例:E.製造業→G.情報産業など)
新たな製品の製造または新たなサービスを提供し、主たる業種を変更
④事業再編 会社法上の組織再編行為(合併、会社分割、株式交換、株式移転、事業譲渡)等を補助事業開始後に行い、新たな事業形態のもとに、新市場進出(新分野展開、業態転換)、事業転換、又は業種転換のいずれかを行う
⑤国内回帰 海外で製造・調達している製品について、国内で生産拠点を整備する

※業種や事業の区分については総務省が定める日本標準産業分類に基づきます。下記ページをご参考ください。
https://www.soumu.go.jp/toukei_toukatsu/index/seido/sangyo/02toukatsu01_03000023.html

自社はどの方向で“事業再構築”を行うのか、まずはその点を検討しましょう。

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2. 事業再構築補助金の枠組みや補助額はどうなっている?

事業再構築補助金には、「成長枠」、「グリーン成長枠」、「卒業促進枠」、「大規模賃金引上促進枠」「産業構造転換枠」、「サプライチェーン強靱化枠」、「最低賃金枠」及び「物価高騰対策・回復再生応援枠」の8つの事業類型があります(第11回公募では、サプライチェーン強靱化枠の公募はありません)。

ここでは、印刷業界において申請可能性が高い2つの事業類型を紹介します。

事業類型 活用条件 補助金額・補助率
産業構造転換枠 国内市場縮小等の構造的な課題に直面している事業者向けの枠組み 【従業員数20人以下】100万円 ~ 2,000万円
【従業員数21~50人】100万円 ~ 4,000万円
【従業員数51~100人】100万円 ~ 5,000万円
【従業員数101人以上】100万円 ~ 7,000万円
※廃業を伴う場合には、廃業費を最大2,000万円上乗せ

中小企業補助率 2/3
物価高騰対策・回復再生応援枠 原油価格・物価高騰等の影響を受けている事業者向けの枠組み 【従業員数5人以下】100万円 ~ 1,000万円
【従業員数6~20人】100万円 ~ 1,500万円
【従業員数21~50人】100万円 ~ 2,000万円
【従業員51人~】100万円 ~ 3,000万円

中小企業補助率 2/3(※)
  • 従業員数5人以下の場合400万円、従業員数6~20人の場合600万円、従業員数21~50人の場合800万円、従業員51人~の場合は1,200万円までは3/4)

各枠組みとも、従業員数で補助金額が変わるのがポイントです。ちなみに補助金における「従業員」の定義は、労働基準法第20条に基づく「予め解雇の予告を必要とするもの」となっています。主には正社員が対象になりますが、期間採用として2か月以内の期間を定めて使用される者、季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者以外のパート・アルバイト、契約社員なども含まれることになります。なお、役員は従業員ではありません。

2つの事業類型(枠)について、もう少し詳しく見ていきましょう。

産業構造転換枠とは

産業構造転換枠は、国内市場縮小等の構造的な課題に直面している業種・業態の中小企業等が取り組む事業再構築を支援するものです。現在の主たる事業が過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上縮小する業種・業態に属しているなどの、市場縮小要件に該当する必要があります。

印刷関連業の中では「印刷業」「製版業」「製本業」「印刷物加工業」が市場縮小要件に該当するため、印刷業界の多くの企業が産業構造転換枠に申請できる可能性が高いと考えられます。

また、補助率が高く(2/3)、成長枠で求められる「補助事業終了後の給与支給総額の年率平均2%以上増加」という要件が求められないというメリットがあります。
まずは、産業構造転換枠の申請を検討してみましょう。

物価高騰対策・回復再生応援枠とは

物価高騰対策・回復再生応援枠は、業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む中小企業等、原油価格・物価高騰等の影響を受ける中小企業等の事業再構築を支援するものです。

補助額の上限が低いものの、補助率が産業構造転換枠以上に高く(2/3、一定額まで3/4)、申請に必要となる要件が少ないメリットがあります。

印刷業界でも原材料費やエネルギーコスト高騰といった影響を受けていることから、申請できる可能性は高いと考えられます。補助事業の対象経費が比較的少額の場合には、物価高騰対策・回復再生応援枠での申請を考えてみてください。

3. 事業再構築補助金を申請できる条件は?

また事業再構築補助金には、いくつか活用のための前提条件があります。自社がそちらを満たしているかチェックしましょう。

前提条件①:どのような事業者(企業)が対象になるか

事業再構築補助金を活用できる事業者については、

  • 中小企業
  • 中堅企業(資本金10億円未満)
  • 一般社団法人、一般財団法人、企業組合といった法人

が対象となります。

前提条件②:認定経営革新等支援機関への相談

事業再構築補助金の申請時に提出する事業計画は、国が定める認定経営革新等支援機関と相談の上で策定する必要があります。そのうえで、計画策定において支援を受けた支援機関から「認定経営革新等支援機関による確認書」を入手していただきます。
認定の支援機関については、下記ページに記載がありますのでご確認ください。
https://ninteishien.force.com/NSK_CertificationArea
なお、補助金額が3,000万円を超える場合は、「金融機関による確認書」も入手する必要があります。

前提条件③:事業計画へ付加価値額向上を盛り込むこと

事業再構築を成立させるためのベンチマークとして、補助事業終了後3~5年で付加価値額、または従業員一人当たり付加価値額が産業構造転換枠、物価高騰対策・回復再生応援枠では年率平均3.0%以上増加する見込みの事業計画を策定することが求められます。

※付加価値額=営業利益+減価償却費+人件費

前提条件④:「新市場進出」において必要な要件

5つの類型の中で、印刷業によく活用される「新市場進出」について、少し掘り下げて要件を確認していきましょう。業種・事業は変えずに、新たな製品やサービスを元に新市場に進出するこの類型では、下記3つの要件があります。

事業再構築の類型 必要となる要件 要件を満たす考え方
新市場進出 ①製品等の新規性要件 ①過去に製造等した実績がないこと
②定量的に性能又は効能が異なること
②市場の新規性要件 既存事業と新規事業の顧客層が異なること
③売上高10%要件 新たな製品等の売上高が総売上高の10%以上となること

「③売上高10%要件」については、事業実施後3年から5年の間に、再構築事業の売上が全社売上の10%を占める計画となっている旨を事業計画書に記載する必要がありますのでご注意ください。

※新分野展開以外の類型についてご活用の場合、詳細は下記「事業再構築指針」を参照ください。
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/saikouchiku.html

前提条件⑤:「産業構造転換枠」のみの条件

産業構造転換枠においては、既存事業の市場が縮小している事業者が対象となります。

  • 現在の主たる事業が過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上縮小する業種・業態に属しており、当該業種・業態とは別の業種・業態の新規事業を実施すること
  • 地域における基幹大企業が撤退することにより、市町村内総生産の10%以上が失われると見込まれる地域で事業を実施しており、当該基幹大企業との直接取引額が売上高の10%以上を占めること

前提条件⑥:「物価高騰対策・回復再生応援枠」のみの条件

物価高騰対策・回復再生応援枠では、売上や付加価値額が減少している原因として、原油価格・物価高騰等の影響を受けている事、コロナの影響を受けていることが求められます。

  • 売上高減少要件

    2022年1月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、2019年~2021年の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること

  • 付加価値額減少要件

    2022年1月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計付加価値額が、2019年~2021年の同3か月の付加価値額と比較して15%以上減少していること

  • 付加価値額=営業利益+減価償却費+人件費

売上高減少要件を満たさない場合は、付加価値額減少要件を満たせば申請可能です。
また、物価高騰対策・回復再生応援枠としては再生計画を策定中の事業者への要件もありますが、申請としては少ないためここでは解説を省略します。

4. 事業再構築補助金はどんなものに活用できる?

事業再構築補助金は、機械装置以外に建物費が補助対象となるなど幅広い経費が対象になっているのが特徴です。ここでは、印刷業界で申請する可能性が高いものを中心に内容と留意点を挙げておきます。

機械装置・システム構築費 専ら補助事業のために使用される機械装置、工具・器具、ソフトウェア・システムなど
建物費 専ら補助事業のために使用される事務所、工場、倉庫の建設・改修などに要する経費
  • 不動産取得費用は対象外
  • 新築の場合は別途理由を記載した説明書が必要
  • 構築物(塀・庭・舗装道路など)は対象外
クラウドサービス利用費 専ら補助事業のために利用するクラウドサービスやWebプラットフォーム等の利用費
  • 月額払いの場合は補助期間分のみ
  • PCやタブレット、スマートフォンは対象外
  • 補助事業=事業再構築補助金を活用して行う事業のこと

上記の他、外注費や広告宣伝・販売促進費など事業実施に必要な経費については幅広く対象としています。詳しくは公募要領をご確認ください。

なお、経費については下記の点も要件となっていますのでご注意ください。

<保険への加入義務>

中小企業(印刷業の場合、従業員数21人以上)において、補助金額が1,000万円を超える案件では、本事業により建設した建物等の施設又は設備を対象として、30%以上の付保割合を満たす保険又は共済(補助金の交付対象である施設、設備等を対象として、自然災害(風水害を含む。)による損害を補償するもの)への加入義務を負うことについて同意が必要となりますのでご注意ください。
なお、小規模企業(印刷業の場合、従業員数20人以下)の場合は強制ではありません。

  • 付保割合:設備や建物の費用の30%以上の割合で保険に加入する必要がある、というものです

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5. 申請にあたって必要な準備

まず事業再構築補助金の申請は「電子申請のみでの受付」です。電子申請にあたってはGbizIDのID/パスワードが必要となりますので、未取得の場合は下記サイトにて手続きください。
https://gbiz-id.go.jp/

全ての枠組みで準備する必要がある書類

次に必要な書類についてまとめます。まずはどの枠組みで申請する場合でも必要となる7種類の書類です。

  • 1.事業計画書
  • 2.認定経営革新等支援機関確認書
  • 3.金融機関確認書(補助金額が3千万円を超える場合のみ)
  • 4.直近の決算書2期
  • 5.財務状況(ミラサポplus 事業財務情報)

    ミラサポplusの財務情報は事業再構築補助金申請ポータルと別サイトになります。
    https://mirasapo-plus.go.jp/

  • 6.従業員名簿
  • 7.直近の法人事業概況説明書の控え

※リース活用で申請する場合について※

第6回公募から、機械装置・システム構築費については、中小企業等がリース会社に支払うリース料から補助金相当分が減額されることなどを条件に、中小企業等とリース会社が共同申請をする場合には、その購入費用について、リース会社を対象に補助金を交付することが可能となっています。
詳しくは下記の資料および下記公益社団法人リース事業協会のホームページをご確認ください。
https://www.leasing.or.jp/studies/hojo.html

リース会社との共同申請について

リースを活用してリース会社と共同で申請する場合には、下記の書類も必要になりますのでご注意ください。

  • リース料軽減計画書
  • リース取引に係る宣誓書(リース会社より入手)

「産業構造転換枠」申請時の追加書類

現在の主たる事業が市場縮小要件を満たすことの説明書の提出が必要となります。

ただし、産業構造転換枠の対象業種に指定された「印刷業」「製版業」「製本業」「印刷物加工業」の場合、要件を満たすことの説明や根拠は不要であり、既存事業の概要を記載するのみで問題ありません。

「物価高騰対策・回復再生応援枠」申請時の追加書類

2022年1月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、2019年~2021年の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少(または付加価値額15%以上減少)していることを証明する書類が必要です。

■原油価格・物価高騰等の影響を受けている売上証明

  • 1.原油価格・物価高騰の影響をうける以前の年度の法人事業概況説明書(写し)
  • 2.減少証明となる年度(2022年1月以降を含む年度)の法人事業概況説明書(写し)
  • 未決算の場合は売上台帳・試算表などの添付

6. <重要!>加点申請の対策

事業再構築補助金においては、審査における加点項目がいくつか用意されています。事業の審査に加えて点数が上乗せされるため、加点があると採択に向けて非常に有利に作用します。是非対策しましょう。

加点項目

1. 大きく売上が減少しており業況が厳しい事業者に対する加点

2022年1月以降のいずれかの月の売上高が対2019~2021年の同月比で30%以上減少していることが加点条件になります。加点を受けるためには以下の書類の提出が必要です。

■売上減少証明に必要な書類

  • 1.2019~2021年のいずれかの法人事業概況説明書(写し)
  • 2.減少証明となる年度の法人事業概況説明書(写し)

2. 経済産業省が行うEBPMの取組への協力に対する加点

この加点は、データに基づく政策効果検証・事業改善を進める観点から、経済産業省が行うEBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング)の取り組みに対して、継続的な情報提供が見込まれるものであれば加点する、というものです。
ただ、こちらは特に書類を用意するというものではなく、電子申請段階でチェックボックスにチェックを入れるだけですので、ぜひ加点を受ける事をお勧めします。

それでは次に申請の際に提出する事業計画書について説明します。

7. 事業計画書の書き方

事業計画書は、事業再構築補助金のポータルサイトにある「電子申請に当たっての添付書類および参考資料」の中にある「電子申請入力項目(Word)」よりダウンロードできます。
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/download.php

電子申請に当たっての添付書類および参考資料

この「電子申請入力項目」は電子申請する際に入力する項目の下書きも兼ねていますが、事業計画はその中の「4.事業概要 事業計画書」が該当部分になります。

申請書は最大15ページで作成します。なお、補助金額が1,500万円以下の場合は10ページ以内での作成が求められています。

≪事業計画書に記載する内容≫

  • 1.補助事業の具体的取り組み内容
  • 2.将来の展望(事業化に向けて想定している市場及び期待される効果)
  • 3.本事業で取得する主な資産
  • 4.収支計画

詳細な書き方についてお悩みの方は、リコージャパンでは印刷業に精通した中小企業診断士とタッグを組み無料相談会を実施しております。是非お気軽にご相談ください。

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8. その他申請におけるポイント・留意点

ここでは、申請の際によくいただく質問を中心に、申請におけるポイントや留意点について取り上げます。

<よくあるご質問>

  • Q.申請時に、設備や建物などの見積りは必要ですか?
  • A.申請時においては見積書の添付は必須ではありません。ただし交付申請以後の手続きを円滑に進めるために用意をしておくことをお勧めします。
  • Q.建物の改修など事業の関係をどのように説明すれば良いでしょうか?
  • A.建物費を計上する場合は平面図を用意し、事業に使用するスペースを区分しておくことで計上した経費を明確化させるようにしましょう。
  • Q.補助金の対象となるのは、採択後に購入した設備のみでしょうか?
  • A.最低賃金枠、物価高騰対策・回復再生応援枠に申請する事業者に限り「事前着手承認制度」の適用が可能です。交付決定前に購入した設備等も対象となる可能性があります。事業実施に必要な設備を検討しましょう。

※「事前着手承認制度」とは※

早期に事業再構築を図るため、事務局から事前着手の承認を受けた場合は補助金の交付決定前の経費であっても補助対象経費とすることが可能です。令和4年12月2日以降に購入契約(発注)等を行った事業に要する経費、という条件がありますので注意しましょう。

また事業再構築補助金を申請する前に、下記についてもチェックしましょう。

<申請時に気を付けておきたいポイント!>

  • 同一法人・事業者が複数申請を行っている場合は1社しか申請できない

    親会社が議決権の50%超を有する子会社が存在する場合、親会社と子会社は同一法人とみなし、いずれか1社のみでの申請しか認められません。また、親会社が議決権の50%超を有する子会社が複数存在する場合、親会社と複数の子会社は全て同一法人とみなし、このうち1社のみでの申請しか認められません。

  • 売上高が10億円以上の企業は事業を区分して売上3億円以上の事業部を対象に申請可能

    事業再構築の5つの分類のうち、「新市場進出(新分野展開、業態転換」や「業態転換」における「新事業売上高10%要件」について、「売上高が10億円以上であり、かつ、事業再構築を行う事業部門の売上高が3億円以上である場合には、当該事業部門の売上高の10%以上であること」を満たすことをもって申請を行う場合には、2021年11月以前の直近の決算において、売上高が10億円以上であり、事業再構築を行う事業部門の売上高が3億円以上であることが分かる書類を追加で提出してください(決算書において分かる場合には追加での提出は不要です)。

  • 再構築点に新たに加わった審査項目の確認

    第10回申請から新たに下記の審査項目が追加されました。

    「自社の強み、弱み、機会、脅威を分析(SWOT分析)した上で、事業再構築の必要性が認識されているか。また、事業再構築の取組内容が、当該分析から導出されるものであるか、複数の選択肢の中から検討して最適なものが選択されているか。 」

    「補助事業として費用対効果(補助金の投入額に対して 増額が想定される付加価値額の規模、 生産性の向上、 その実現性等)が高いか。その際、現在の自社の人材、技術・ノウハウ等の強みを活用することや既存事業とのシナジー効果が期待されること等により、効果的な取組となっているか。」

    自社の強み・弱みを認識した上で、自社がこれまでに取得してきたノウハウを生かした事業計画になっているか、という点が評価の対象になっていることが分かります。

以上、申請におけるポイントになります。

9. 直近のスケジュールをチェック!

2023年10月6日に第11回の応募が締め切られ、次の公募である第12回は近日公募開始となるのではないか、と言われています(2023年11月19日時点)。詳細スケジュールが分かり次第アップデートしていきますので、今のうちに準備を進めていきましょう。

第11回のスケジュール

10. 実際の採択事例を見てみよう

さて、ここまで概要から申請方法・スケジュールとみてきましたが、「事業再構築補助金の事は大体分かったけど、もう少し具体的にどんなことに使えるか知りたい」という声もあるかと思います。

過去の採択結果から、印刷会社様がオンデマンド印刷機の導入・活用などを行ってどのような事業再構築を計画した採択事例があるのかいくつかピックアップしてみました。

再構築補助金の採択例

概要
A社 コロナで需要が増加した自治体関連の通達物発送業務を請け負う事で新分野展開
B社 オンデマンド印刷機を活かした新しいパッケージ・紙袋の製造分野への新分野展開
C社 オンデマンド印刷による絵本自費出版とプラットフォームの構築による新分野展開
D社 伝統和紙を活用した地域事業者向け紙製品・地元産品の製造販売による新分野展開
E社 デジタル可変印刷を活用したラベル・タグの偽造防止印刷展開による新分野展開

顧客のニーズや自社の強みを元に、どのような“再構築”が自社にとって最適なのか、というのをこれらの事例から検討することが出来そうです。

11. 印刷会社の採択率についてチェックしよう

最後にここまでの事業再構築補助金における採択率について見てみましょう。

第1回から第9回までの採択の概要

全体申請 全体採択 採択率 印刷業 比率
第1回 22,231者 8,016者 36.1% 99者 1.2%
第2回 20,800者 9,336者 44.9% 73者 0.8%
第3回 20,307者 9,021者 44.4% 95者 1.1%
第4回 19,673者 8,810者 44.8% 73者 0.8%
第5回 21,035者 9,707者 46.1% 104者 1.1%
第6回 15,340者 7,669者 50.0% 56者 0.7%
第7回 15,132者 7,745者 51.2% 80者 1.0%
第8回 12,591者 6,456者 51.3% 46者 0.7%
第9回 9,369者 4,259者 45.4% 43者 1.0%

印刷業採択数と占有比率の推移

印刷業採択数

他の業種では積極的に活用が進んでいる補助金ですが、まだまだ印刷会社様の利用は少ない印象です。全体の採択率は40%以上と大きな補助を受けられるチャンスは広がっています。是非今一度ご検討してみてはいかがでしょうか?

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まとめ

いかがだったでしょうか。2021年度から新たに始まった「事業再構築補助金」は、新型コロナウイルスの影響や印刷需要の低下などで「何かを変えなければならない」と考えている多くの印刷会社様にとって、非常に興味深いものと言えるのではないかと思います。

既存商品や既存事業を変革し、新たな事業を創造するのは簡単なことではありませんが、だからこそいまチャレンジすべき事なのかもしれません。

Print Compass編集部(リコージャパン)では、POD機やインクジェットプリンターなどの導入に向けた事業再構築補助金の具体的な活用について、印刷業専門の中小企業診断士と連携した無料の個別相談会、を開催しております。

「補助金活用に興味はあるけど、何から始めればいいか分からない…」

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などの相談に対し、1社1社個別にお話しさせていただきます。もちろんオンラインでの相談会も可能です。補助金に対する知識などは無くても大丈夫なフランクな相談会ですので、是非お気軽にお声がけください。

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■監修

株式会社GIMS 中小企業診断士 寶積 昌彦 様

株式会社GIMS
中小企業診断士
印刷業界専門コンサルタント 寶積 昌彦 様

立命館大学卒業後、ハマダ印刷機械株式会社入社。

各種印刷機、CTP等関連機器等多岐にわたる機械の営業担当を経て、営業管理・推進業務を担当。市場調査や製品開発企画とプロモーション、仕入商品・部材の調達管理や販売・製造台数の予測などの業務に従事。

その後、グラビア印刷会社の朋和産業株式会社に入社し、大手コンビニエンスチェーン、大手カフェチェーンの軟包材の営業を担当後、中小企業診断士として独立。独立後は公的機関の委嘱による中小企業支援を行う傍ら、印刷業界専門のコンサルティングを行う株式会社GIMSにも参画し印刷・製本会社の経営支援に従事している。

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