印刷業の「これから」をもっと強くするBCP策定のススメ

BCPの最大のメリットは、災害時に事業を早く復旧させられることです。災害時のマニュアルを作成しておけば、非常事態にも冷静に、迅速に対応することが可能です。

災害が起きた時にも、世の中が求めるサービスや商品を変わらず提供し続けることで、企業としての社会的な責任を果たせます。非常事態下の対応によって企業イメージが向上するという長期的なメリットもあります。

災害時に向けた対策を社外に発信することで、リスク管理が徹底している優良で安心できる企業というイメージにつながります。取引先や顧客からの信頼を得ることが可能です。

BCPを策定することで、自社にとって重要な業務や資源、また防災計画について改めて確認することができるという副次的なメリットもあります。BCP策定のためのリサーチが、平常時の業務効率化や経営判断にも役立ちます。

社員の安否確認体制の確保はBCP対策を進める上で必須です。被害の状況を正しく把握することで、社員への迅速で的確な指示出しが可能になります。

災害時に事業を継続するために重要なのが、各種データの確保です。事業再開に必要な経営に関わるデータはもちろん、印刷会社の財産である過去の印刷データを失わないように、こまめにバックアップを行いましょう。地域リスクの分散の面ではクラウドサーバーを活用したバックアップも有効です。
また、重要な紙資料や原稿が災害で損失するケースに備えて、資料を電子化して保存することも有効です。

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災害で業務に必要な資材などが失われたときの代替手段を準備しておくことも重要なBCP対策です。生産工場や資材調達元、データセンターなど、業務運営に必要な要素の代替策を決定しておきましょう。
また、代替手段の準備と合わせパレットや棚を活用し、床より高い場所に置く、火器・電源から遠ざける、転倒・転落を防ぐ対策を施すなど、被害を抑える工夫も肝要です。

平常時から、生産拠点や資産を複数に分散しておくことは災害対策として有効です。ひとつの拠点の機能が失われても事業が継続できる体制を整えることで、スピーディな業務再開ができます。
同じ拠点内でも保管場所を分散するなど身近なところから始めてみてはいかがでしょうか。

災害時の復旧対策が万全でも、仕事をする社員が出社できない状況であれば業務を停止せざるをえません。オフィス・工場でのみ業務が可能なルールの場合、交通機関の麻痺や出勤の抑制などで出社できず仕事ができないリスクがありますが、テレワークや在宅勤務ができる体制があれば、災害時に出勤せずとも社員が業務を続けることができます。

実際に対面営業が主流、工場の稼働が必須、となっている印刷業界ではどの程度対策が取られているのでしょうか？

結果としては、60％の会社がリモートワークを推進しており、時差出勤や輪番出勤など、他の対策も含めると80％以上の企業が何らかの対策を取っており、印刷業界においても働き方の変化が大きく求められている、と言えそうです。

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特定の専門工程にとらわれることなく、前後の工程や、多忙となりボトルネックとなりやすい工程等を習熟しておくことで、やむを得ない自体でも、限られたメンバーで業務継続が可能となります。また、工程間の理解が深まることで、通常時の業務効率化にもつながります。

緊急事態への対策の必要性を理解し、責任者を専任しBCP推進体制を整備します。
全社統一の推進が望ましいですが、支社・拠点ごと、部門単位での推進も有効です。
・社長　・工場長　・部門責任者　など

自然災害、感染症の流行、急な経営環境の変化など自社が操業停止に陥る事態を確認します。
・火災　・台風による浸水　・大規模な停電　・操業自粛等

安否確認体制の整備など社員の安全を確認する体制を整えます。
・連絡方法は？　・携帯電話が不通の場合は？　・近くに安否の確認できる機関は？

緊急事態時に優先して継続すべき業務を決定します。
・印刷部門（核となる機械）　・発送部門　・資材管理部門　・経理部門　・クライアント対応部門　等

業務再開のために必要な社内プロセスや機能を確認し、復旧の優先順位を定めます。
・どの業務が復帰すれば核となる業務が運営できるか？
・核となる取引先は？

臨時の社員、資金、アウトソーシング先の確保、データセンターなど災害時の代替手段を検討します。
・主要取引先以外の仕入れ先の確保
・離れた地域でのアウトソーシング
・蓄電設備の活用　等

システム、管理部門、工場など対策を優先すべき業務の復旧までの目標時間を設定。

主要事業の継続に影響を与える事態を想定し、自社のBCP発動の基準を定めます。

緊急時に会社で対応を行うメンバーを定め、無理な出社をさせないためのルールを作ります。
・必要最小限の人数の算出
・業務を行うキーマン、グループの策定　等

部門ごとの対応手順やBCP投資の予算などを定めます。

社員の誰もが理解できるわかりやすいマニュアルを作成し、各部署に配置します。
停電や火災、浸水等に備え、複数個所・複数媒体での保管が望ましいでしょう。

社員にBCPの考え方や災害時の対応への理解を深めるための研修を実施します。
策定のみでは効果がありません。各社員にしっかりと浸透させ非常時への心構えを根付かせましょう。

新たな危機の発生や社内システムの変更に応じて計画を見直す。
今の「想定外」を、今後の「想定内」にしていくことが大切です！