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<寶積先生に聞く!> POD機の導入に使える2025年補助金 其の1:「制度がありすぎてわからない!」(どれを使う?)編

<寶積先生に聞く!> POD機の導入に使える2025年補助金 其の1:「制度がありすぎてわからない!」(どれを使う?)編

ノウハウの実践方法をまとめた
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目次

1. 2025年は補助金ラッシュ!?

2024年度は制度の切り替え時期ということもあり1年を通して殆ど補助金が実施されませんでした。設備投資をお考えの事業者の方からすると本当にヒヤヒヤした1年ではなかったでしょうか(実は私もヒヤヒヤしていました)。

一転して2025年度は新しい制度を含めてまさに補助金ラッシュ。ほぼ毎月のように何らかの補助金が実施されています(私も毎月追い立てられる日々です)。
下記に主な補助金を挙げてみます。

2025年度実施の主な補助金

省力化投資補助金 ものづくり補助金 新事業進出補助金
カタログ型 一般型
補助金額 200~1,000万円 750~8,000万円 750~2,500万円 2,500~7,000万円
補助率 一律1/2 中小1/2・小規模2/3 中小1/2・小規模2/3 一律1/2

ものづくり補助金は10年以上続く今や伝統的な補助金ですが、他の補助金はあまり見慣れないかもしれません。省力化補助金カタログ型も昨年から実施はしていましたが実質は開店休業状態で本格的な実施は2025年度からです。
金額だけで見ますと、省力化投資補助金の一般型や新事業進出補助金は補助額も多く魅力的です。でもなぜこんなに制度が乱立しているのか、そして何を選んだらよいのか…。そういったお悩みの声もよくうかがいます。

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2. それぞれの性格と相性を知る事が大切

聖書の格言に「叩けよ、さらば開かれん」という有名な言葉があります。よし、それならばまず何より申請してみよう!

その意気込みや良しなのですが、残念ながら今年の補助金はどうやら気持ちだけでは難しいようです。実は補助金も人間と一緒で性格と相性があり、その見極めが非常に大事なのです。なぜか乱立しているように見える様々な制度、それこそが補助金制度の性格が細かくなっている証拠なのです。どういうことか、少し解説していきましょう。

まずはそれぞれの補助金制度の性格を挙げてみます。

それぞれの制度の性格(公募要領掲載の制度主旨)

制度名 制度主旨
省力化補助金(カタログ型) 人手不足解消のための省力化カタログに掲載されている汎用設備への投資を支援
省力化補助金(一般型) 人手不足解消のためのオーダーメイド性のある多様な設備やシステムの投資を支援
ものづくり補助金 革新的な新製品・新サービス開発を行う事業のために必要な設備投資を支援
新事業進出補助金 既存事業と異なる事業への前向きな挑戦であって、新市場・高付加価値事業への進出を支援

いかがでしょうか。え?もっと分からなくなったって!?
それではかなりフランクに意訳してみると、こんな感じかもしれません。

それぞれの制度の性格(簡単に言うとこんな感じ)

制度名 制度主旨
省力化補助金(カタログ型) カタログに目ぼしい省力化設備があれば選んで導入してください
省力化補助金(一般型) 自分の会社で省力化できそうな設備を見繕って導入してください
ものづくり補助金 今の製品やサービスを新しくできそうな設備を導入してください
新事業進出補助金 今までとは全く違う事業をするのに必要な設備を導入してください
  • 上記は筆者個人の解釈ですのでご注意ください。

いかがでしょうか。何となく主旨や狙いの違いが分かってきたように思えませんか?似ているように見えて、このようにそれぞれ全く違う主旨の補助金の門を適当に叩き続けても開かれることはない、ということなんです。

3. ではどんな使い方があるのか

それでは最後に上記の補助金をどのように使い分けることができるのか、POD機を導入する場合をいくつか想定して考えてみましょう。

ケース①:ベテランオペレーターしかオフセット印刷機を使えない(A社)

A社ではベテランオペレーターがオフセット印刷機を使って印刷していたが引退も近い。経験の浅い若手では同じ品質を出すのに時間も手間もかかってしまう、とはいえ今から代わりの人材を採用するのも難しいし…

こんなケースでは⇒《省力化補助金カタログ型でPOD機を導入》
省力化補助金カタログ型を使って、カタログに掲載されているPOD機を選んで導入するのがオススメ。カタログに載っている省力化設備を導入すれば解決できそうな課題の場合、スムーズな置き換えで省力化もでき一石二鳥です。

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ケース②:印刷・製本2つの工程で人手が足りなくて困っています(B社)

B社では印刷工程と製本工程の両方の工程で人手が不足しています。何とか一度に解決できる方法はないだろうか…

こんなケースでは⇒《省力化補助金一般型でPOD機・製本機+ソフトウェアの組み合わせを導入》
省力化補助金一般型は、カタログ型と違って自社に合わせた組み合わせのカスタム設備に活用できるため、1つの設備だけでは対応しきれない各社固有の省力化に繋がる課題解決を狙う場合にオススメです。POD機と製本機、並びに両方を連動させるソフトウェアを組み合わせて投資すれば、人手不足の解消だけでなく生産工程のボトルネックも解消できそうではないでしょうか?

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ケース③:同人誌印刷だけでなくグッズ提供まで幅を広げたい(C社)

C社では同人誌の印刷を手掛けていますが印刷の仕事だけではビジネスの広がりがなく、競争力も減ってしまい困っている…。創注を推進するためのいい方法はないだろうか…

こんなケースでは⇒《ものづくり補助金でPOD機+加工機を導入》
新規サービスに伴う設備導入の場合、ものづくり補助金がオススメ。POD機と缶バッジの加工設備を導入して、同人誌のキャラクターをIP(知的財産)として缶バッジなどのグッズ製作まで手掛ける新サービスを実施する、など既存のビジネスを活かした創注が検討できそうではないでしょうか?

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ケース④:新たにシールラベル業界に進出する事業を立ち上げたい(D社)

D社はこれまで一般商印を中心にビジネスをしていたが、印刷量は徐々に減少。会社の存続をかけてシールラベル業界に活路を見出し、心機一転あらたな市場へ乗り出すことを決意した。

こんなケースでは⇒《新事業進出補助金で新工場とPOD機、加工設備一式を導入》
今までに行ってこなかった新たな事業を立ち上げるような場合、新事業進出補助金がオススメ。駐車場の土地を活用して新工場を竣工し、POD機とシールラベル用の加工設備を導入して小ロットのシール・ラベル事業を実施、ということは現実的に可能かもしれません。

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4. まとめ

いかがでしょうか。このように同じようなPOD機+αの設備を導入する場合でも、どんな用途で活用するかによって、どの制度を活用するかが全く異なっているのがお分かりではないでしょうか。

皆さんの会社でお考えのPOD機導入がどのようなケースに当てはまるのか、是非一度検討してみてください。

「何となく分かってきたけど、具体的に進めるための後押しが欲しいな」という方は、ぜひリコージャパンさんにご相談ください。私も一緒に入らせていただく個別相談会によって会社様の実態に合わせた提案を実施させていただきます。ぜひ相談会でお会いできるのを楽しみにしています。

また、いま使える補助金、を一覧にまとめた補助金早見表もご用意しております。まずは各補助金についてざっくりと情報を把握したい、という方はぜひこちらもご覧ください。

  • タイミングによっては最新情報ではない場合がございます。恐れ入りますがリンク先の日付をご確認のうえご活用ください。

本コラム筆者

株式会社GIMS 中小企業診断士 寶積 昌彦 氏

株式会社GIMS 中小企業診断士
印刷業界専門コンサルタント
寶積 昌彦 氏

立命館大学卒業後、ハマダ印刷機械株式会社入社。

各種印刷機、CTP等関連機器等多岐にわたる機械の営業担当を経て、営業管理・推進業務を担当。市場調査や製品開発企画とプロモーション、仕入商品・部材の調達管理や販売・製造台数の予測などの業務に従事。

その後、グラビア印刷会社の朋和産業株式会社に入社し、大手コンビニエンスチェーン、大手カフェチェーンの軟包材の営業を担当後、中小企業診断士として独立。独立後は公的機関の委嘱による中小企業支援を行う傍ら、印刷業界専門のコンサルティングを行う株式会社GIMSにも参画し印刷・製本会社の経営支援に従事している。

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