<クイックス様インタビュー> 二次元コード読み取り率25%超え。ビジネスを加速させるDM施策はどのようにして生まれたか。

<クイックス様インタビュー> 二次元コード読み取り率25%超え。ビジネスを加速させるDM施策はどのようにして生まれたか。

商品・サービスの販促物として使われるDM(ダイレクトメール)。他にも、セミナーの案内や新規顧客の開拓など、幅広いシーンで使われています。メールマガジンと比較して開封率が高いと言われており、現在も多くの企業で使われているマーケティング手法のひとつです。

特にコロナ禍以降、企業から配信されるメルマガが急増していますが、受け手にとって膨大なメルマガはスルーされ、開封率がかなり落ちているというデータもあります。受け手にとって、着実に手元に届き、開封率も高いDMが今あらためて見直されているのです。

そんな中、マニュアルソリューションやマーケティングソリューションなどを展開する株式会社クイックス社が、リコージャパン株式会社、リコージャパンのパートナー企業である株式会社クリエ・ジャパン社のサービスを活用し、QRコード読取率25%の効果を出す「スケジュール帳型DM」を制作。同製品は、第37回 全日本DM大賞で銅賞を受賞しました。

今回Print Compass編集部では、「スケジュール帳型DM」の誕生について株式会社クイックス社にインタビューしました。脅威のQRコード読取率を実現した「スケジュール帳型DM」の裏側を探っていきます。

株式会社クイックス

ノウハウの実践方法をまとめた
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目次

1.印刷会社とパートナー企業を結び付けたリコージャパン。DMの新しい価値の模索が始まった

佐藤

こんにちは!Print Compass編集部の佐藤です。今日は「スケジュール帳型DM」がどのように生まれたのか、誕生までの経緯や開発時の苦労ポイント、そして全日本DM大賞でなぜ銅賞を獲得できたのか、その開発の背景に迫っていきます。

佐藤

「スケジュール帳型DM」は、印刷事業者、ビジネスパートナー、リコーグループによる共創によって、印刷事業者のビジネス拡大を支援する課題解決型提案活動「RICOH BUSINESS BOOSTER」から誕生したものです。

RICOH BUSINESS BOOSTER

佐藤

しかし、最初のきっかけは全く別のところからだったとか。早速、株式会社クイックス社の加藤様と太田様に協業の経緯を伺っていきます。

こんにちは!Web戦略部コンテンツサービス1課の加藤です。

加藤さん

第一営業部営業一課の太田です。今日はよろしくお願いいたします。

太田さん
佐藤

早速ですが、御社では「健診Assist」という特定健診案内状受診券付き作成発送サービスを開発されていますよね。今回、協業するにあたって「健診Assist」がきっかけになったと伺っています。どのようなサービスですか?

「健診Assist」は、お付き合いのあった健康保険組合様から、特定健診の案内として組合員さんに送っているDMを改善して『健診の受診率を上げたい』という課題をいただいた際に生まれたサービスです。DMを受け取った方の住所を基準に緯度と経度を計算し、最寄りの医療機関を洗い出し、連絡先などを記載するというものです。

加藤さん

従来は特定健診の案内DMを送り、受診希望者からの連絡を受けて、どこで受診できますという受診券が届く、この2回往復があったんですね。「健診Assist」では、受診券付きで、しかも近隣の医療機関の情報が入ったDMを送付します。受信側としては、健診先の選定、予約、実際の受診に必要な情報が届いたDMにすべてまとまっている、送る側は2回送る発送コストと電話の手間が省けるというメリットがあり、受診率も跳ね上がりました

加藤さん
佐藤

素晴らしいサービスですね。カラーPODおよび圧着機を増設したというお話もありましたが、それはやはり「健診Assist」のサービス推進や受注増を狙ってのことだったのでしょうか?

全社的な方針としてオフセット印刷ではなくデジタル印刷に移行する動きがありました。それに加えて、ありがたいことに「健診Assist」を評価いただいていたので、個人情報を担保する目的とスピード感やコスト面でも内製化を進めようということで、カラーPODおよび圧着機を増設することが決まりました。

加藤さん
佐藤

社内の方針と「健診Assist」のサービスとしての展開の方向性が合っていたということだったんですね。では、その上で御社はどのような課題を抱えていたのでしょうか?

社内設備を増強したものの、その設備をフルに稼働させるための受注を確保することができていなかったんです。そこで、「健診Assist」だけではなくDMの受注を広げていかなければならないという課題に直面しました。

加藤さん
佐藤

DM分野にも進出していこうとされていたんですね。そこからどのようにして、リコージャパンとの協業の話が出たのでしょうか?

「JAGRA(日本グラフィックサービス工業会)」内で当社から「健診Assist」 の紹介をさせていただく機会があり、リコージャパンの畠中様と接点を持たせていただいたことが最初のきっかけです。その後いただいた資料の中には、マーケティング支援としてDMの課題解決事例がいくつかあって、当社としてDM制作を強化していく方向性が定まっていた時期だったこともあり、非常に興味を持ちました。

太田さん
佐藤

その後、リコージャパンの「TRIBUS」というイノベーションプロジェクトを通じて、パーソナライズド動画生成ソリューション「PRISM」を持つクリエ・ジャパン様のサービスを紹介させていただいたんですよね。

メルマガが主流とは言われていますが、逆に今はDMによる効果が高まっているという資料もリコージャパン社からいただいていました。当社でDM分野に力を入れていきたいというタイミングで、運よくリコージャパン社とご縁ができ、そのパートナー企業であるクリエ・ジャパン社のサービスを活用したDMが生まれたんです。

加藤さん

2.二次元コード読み取り率25%超えを実現した独自の仕組み

佐藤

印刷事業者のビジネス拡大に向けて「仕事を創る」「仕事を回す」「仕事が見える」の3つの軸で課題解決に取り組む「RICOH BUSINESS BOOSTER」により三社が協業して新しいDMを作るという話から、最初にどのような依頼・提案があったのでしょうか?

リコージャパン社主催でクリエ・ジャパン社のソリューションを紹介するセミナーを開催することが決まっており、その集客施策の1つとしてDMを企画してほしいとご依頼をいただきました。しかし、うまく意図を読み取れておらず、最初は普通のよくあるDMを提案してしまったんです。

加藤さん
佐藤

そこから「手帳型DM」の案に至るまでは時間がかかりましたか?

太田と次の案を考えているときに、PODも含めて当社の製造設備に知見のある執行役員の稲垣から「A5サイズはどうなんだ」とアイディアをもらえたんです。手元にある手帳がA5サイズで、これが開くような形だったら受け取った側が自然に開くんじゃないかと。これだ!と思いました。そこから次の提案までは2,3日でした。

加藤さん

手帳型DM表紙

佐藤

早いですね!その時点で具体的な内容まで決まっていたのでしょうか?

「手帳型DM」の素案を含めて全部で3案を出したのですが、おそらくこれに決まるだろうと考えていたので細部まで決められるよう動き出しはしていました。デザイナーさんには手帳をモチーフとしたデザイン制作の連絡を、ライターさんには想定ターゲットとデザインモチーフからストーリーラインとキャッチコピー案の検討をスタートしてもらうよう連絡をしました。なにしろ、印刷から発送までは約2週間ほどだったので。

加藤さん
佐藤

最終的に制作された「手帳型DM」はどのようなDMですか?

両開きタイプの手帳型のデザインで、中身もスケジュール帳と同様に日付が書かれています。日付のところには予定の記入やメモ書きの貼りつけがしてあり、ダイレクトにセミナーの日付が伝わります。加えて、パーソナライズ動画ソリューションを活用したOne to One動画が見られるQRコードを貼り、セミナー申し込みができる導線を用意していました。

加藤さん

手帳型DM見開き

佐藤

受け取り側が何をすれば良いかが視覚的に伝わりやすいデザインですね。この「手帳型DM」を制作するにあたって苦労した点はありますか?

セミナーのご案内を送るターゲットは企業の経営層の方でした。手帳型にするのは決まっていたので、中身もスケジュール帳と同様に日付とセミナーのメモを入れて直感的にわかるように配慮しました。どうやってDMを開いてもらうのか、QRコードに誘導するのか、そのコンセプトをデザインに落とし込むまでは苦労しましたね。経営層が手に取り、開いてくれるような高級感のあるデザインを検討したりとか。

加藤さん
佐藤

発送までの時間や金額の制限もあったと伺っています。それらのことはプラスに働きましたか?

短納期でコストも決まっていたので、実現可能な印刷仕様やコスト制限を満たすものを考えるところは工夫が必要でしたね。ただ、時間やお金をかけたからと言って良いものができるとは限りません。時間とコストの制限内で最大限のことはしようという気持ちで取り組みました。

太田さん
佐藤

スピード感と熱量が伝わってきます!全日本DM大賞で銅賞を受賞されていますが、応募は制作段階で意識されていたんですか?

実は、リコージャパン社からクリエ・ジャパン社のセミナーDM制作の依頼をいただいた時から、DM大賞に応募しようという話は出ていました。

太田さん

ただ、当社は応募したこともなかったので、どんなDMだったら大賞を取れるのかは全然わかりませんでした。そこはリコージャパン社の知見をお借りして、一定の効果が出ているDMであれば入選できる可能性があるだろうとは思っていました。

加藤さん

なので、私どもとしてはQRコードを読み取らせる仕掛けづくりを意識すればよかった。結果として、通常のQRコード読取率2〜3%のところ、この手帳型DMは25%と数値的な根拠を作ることができたので、DM大賞でも評価いただけるだろうと思いました。

太田さん
佐藤

銅賞を受賞した時の率直な感想を教えてください!

自分が携わった仕事がなんらかの評価を受けるってことはあまりないので、やっぱり嬉しかったですね。

加藤さん

3.目指すは顧客の課題解決。二社の共創は今後も継続予定

佐藤

DM大賞の銅賞を受賞したことで得られた効果や良かったことはありますか?

今後お客様に提案をしていく際に、当社の実績として紹介できる事例ができたかなと思います。お客様のマーケティング支援施策でDMの相談がきた際、しっかりとしたサポート内容を提案できるというのは強みだと考えます。アナログ施策だけではなく、今回と同様にデジタル×アナログの融合の提案を継続して行っていきたいと思っています。これを武器として、さらなる拡販を実施していきたいです。

太田さん

DMに対する考え方も変わりました。今までは、マーケティング支援施策のひとつとしてのDMは、顧客接点のスタート地点を得るためのツールだと考えていたところがあったんですね。それが、今回の取り組みのなかでフィニッシュツールとしても使えることを知りました。その考え方が当社で生まれたというのは大きかったかなと思います。

加藤さん
佐藤

数値としてだけでなく、考え方としても得られた効果は大きかったんですね。実際にリコージャパン社と協業して、どういったところが良かったかなど感想もお聞きしたいです。

常に弊社をパートナーとして認めていただいているという気持ちで取り組むことができました。DMデザインやストーリーの決定に至る過程において、当社案に対して具体的なご意見をいただいたり、1 to 1 QRなどリコージャパン社のエッセンスを盛り込むことをアドバイスいただいたりと、限られた時間のなかで納得のいくDMに仕上げることができたのも、ご協力あってこそだと感じます。

太田さん

全日本DM大賞にエントリーする際にも多くのことを指導していただきました。当社はDM大賞に関する知見もありませんでしたし、私個人としてもあまり情報を持っていませんでした。そこを、下地づくりから指導していただき、数字としても成果も示すことができた。顧客の要望に応えるために必要なものは何かということもあらためて教えていただきましたね。

加藤さん

弊社だけでなく印刷業界に対して新たなアイディア、ソリューションを提供いただけるパートナーだと認識を新たにすることができました今後もリコージャパン社やそのパートナー企業との連携で、顧客の課題解決に向けた取り組みを積極的に展開していきたいです。

太田さん

4.今後もお客様の課題に応じて適切なDM施策を提案していく

集合写真

佐藤

ちなみに次は金賞を狙うことは考えているのでしょうか?

当然、DMの提案はしていくと思います。ただ、当社としてはDMを積極的に売ることはあまり考えていません。お客様がDMの課題解決を求めているのであれば、今回の事例を元に提案させていただきますが、一番大事なのはお客様の課題解決であって、DMありきで提案することは弊社の目的ではありません。金賞を取れるような事例ができたらいいなとは思いますが、それを狙っていくっていうことはあまり考えていないんです。

加藤さん

お客様の課題解決を一番の目的とするのは今までもこれからも変わらずに実行し続けていく方針です。

太田さん
佐藤

お客様の課題を汲み取り、ストーリー作成から提案、アウトプットまで一貫して行ってくれるのはクイックス社ならではの素晴らしさだと今回の取り組みで感じました。加藤様、太田様、ありがとうございました!

5.おわりに

リコージャパンは今後も印刷会社様やパートナー企業と一体となり、印刷会社様のビジネス拡大に向けて取り組んでまいります。 印刷会社様×リコージャパンですぐ始められる新しいビジネスのヒントが詰まったKICK START、様々な実機や実際の出力サンプルを展示したショールームにぜひお越しください。

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